クリエイター

石田 祐康Hiroyasu Ishida
1988年生まれ。 京都精華大学在籍中の2009年に発表した自主制作作品『フミコの告白』で注目を集める。2013年には『陽なたのアオシグレ』にて劇場デビュー。2018年に監督を務めたコロリド初の長編アニメ―ション映画『ペンギン・ハイウェイ』が第42回日本アカデミー賞「優秀アニメーション作品賞」を受賞するなど、高い評価を受ける。柔らかくも活発なキャラクターが縦横無尽に駆け回る作品を世に届ける、気鋭の若手アニメ監督。

WORKS
- 『雨を告げる漂流団地』(MOVIE/2022)監督
- 『ペンギン・ハイウェイ』(MOVIE/2018)監督
- 『台風のノルダ』(MOVIE/2015)キャラクターデザイン、作画監督
- 『ポレットのイス』(Short/2014)監督 ※ノイタミナ10thスペシャルアニメーション
- 『陽なたのアオシグレ』(MOVIE/2013)監督、脚本
- 『フミコの告白』(Short/2009)監督
INTERVIEW
石田監督は、新しい発想はどんな時に思いつきますか? よく、散歩をしている時やボーッとしている何気ない時に思い浮かぶという話を聞きますが、僕の場合は、絵を描きながら机に向かって「うーん…」と考えている時に思いつくことが多いです。ちゃんと時間を確保して、その仕事にだけ集中している時の方がアイデアが出やすいんですよね。別のことをやっているとそっちに全力集中しちゃうので。あとは、話し合いの中で思わぬアイデアが出てくることもあります。明確に言葉にしないと伝わらない自分の中にある思いや、一人で考えていたら言語化にもっと時間がかかっていただろう無意識下にあったものが、ディベートの中でフッと言葉になって出てくる。棚ぼたもありますね。自分が投げた言葉で相手が「じゃあ、こうなんじゃない?」って返してくれて「そうか」ってなる。相手の脳みそからこぼれ落ちてくる、自分にとっては予期せぬ宝物。そういうものも生かしていかないと大きい作品は作れないです。
2009年に『フミコの告白』でさまざまな賞を受賞して、注目されましたが、その時にはすでに将来アニメの仕事をしていこうと決めていらしたのでしょうか。 大学に行く時点で決めていました。『フミコの告白』は、「一緒に何か面白いものを作ろう」って僕のボロアパートに殴り込んできた人がいたんですよ(笑)。その子が結構熱かったので、それに応える形で全力で取り組みました。賞を取ろうとまでは最初は思っていなくて、ただせっかくやるなら面白いものにしたい、という気持ちでしたね。
ご自身のターニングポイントは?
やはり初めての長編作品ということで『ペンギン・ハイウェイ』でしょうか。『ペンギン・ハイウェイ』は原作のある作品ですが、自分のことのように実感を持って作れた作品です。原作モノは、どうしてもそこが希薄になってしまうことがあるんですよね。原作の存在が大きすぎたり、プロデュース側が頭でっかちになりすぎたりして、監督をはじめ作る側がのりきれていないまま作ってしまう。それだとどうしても良い作品にはならないです。
でも逆に作り手側が大きくなりすぎてやりたい放題になってしまってもダメなんですよ。ノリと勢いで作画がどれだけカッコいい動きを作れるかに集約してしまって、熱はあるけど意図が見えづらい作品になったりする。だからといってお互いに遠慮し合うのも良くないんです。それは単にハードルが低くなっていくだけですから。ハードルが高くないと作品を強くできないんです。良い作品を作るためにはハードルを上げていって、プロデュース側と作り手側がどちらも気合いで負けずに、せめぎあって作っていかないといけない。だから強くないと、精神が図太くないとダメなんだと思います。
今後、作りたい作品は? ロボットが描きたいです!
それは方向として、『機動戦士ガンダム』のような? それとも『ドラえもん』的な? その中間ですかね。なんとなく、イメージはあります。でも今はまだその時期ではないのもわかっています。目の前のことから逃げることこそ悪だと思っていますし、コロリドはまだ小さいスタジオなので、求められることをコツコツとやって、そのうち棚ぼた的に、機会が来るだろうという風に考えています。